「日本に猟師が動物を滅ぼした歴史はない」
自然に向かい自然として対峙し
殺戮ではなく食として頂くこと。
それは自然の流れだと思う。
◆猟を終えて
この日の猟は3貫の猪2頭でした。
「今晩の食料が出来たのぅ。」
長老が猪を捌くための湯を沸かす。
◆料が始まる
慣れた手つきで山刀を操る。
いや〜良く切れる刃物ですね。
「何言いゆうぜ。これが本職じゃき」
お湯を掛け手早く毛を抜き取る。
カミソリで毛を削ぎ毛根を残せば
更に肉はうまくなると言う。
ここではそれぞれが役割を分担し
年齢も関係無く上下の身分もない。
そんな猟師達の手にかかり
あっという間に猪は肉になった。
「トンビが内臓を待ちよらぁ(笑)」
そして何一つ無駄にはしない。
◆自然というもの
犬と共に野山を駆け
自然の一部となるこの文化が
自然を有り難いと思う心のために
いつまでも続いて欲しいと思う。
そんな猟師達により
猪の命は引き継がれた。
猪は天寿を全し
猪は死んではいない。
猪の荒肝を抜く風の音 宇多喜代子