猿板

遊山黒子衆SARUの記録

初冬の三辻山遊山 冬空

                                                       

 工石山から延びる主稜線に上がる。

 稜線は風が強く土壌が乏しいため
根生菌と共生する草木が根を張っている。

 「囀りが賑やかになった」

◆忘れられた園地

「頂上行こうや」

 山道は稜線から下りはじめ
昭和に整備された赤良木園地に至る。

   Iyoが久しぶりやきね。

 頂上への道は更に土壌が乏しく
アセビ躑躅が主な植生となるが
藪を好む鶯などが上がってきて
距離が近く出会う機会も多い処。

                                                   

◆山頂に上がる

「Iyoちゃん 海が光りゆうね」

 赤良木園地は山頂直下にあって
10分足らずで標高約1100mの頂に出る。

    「ほんまや!」

 家から2時間半で立てる頂。
これも山が短い距離で海に下る
土佐ならではの風景だと思う。

 山高きが故尊からずだよな。

◆天辺に座すこと

「リンゴ持ってきました」

   「Iyoちゃんも(笑)」

 どちらも先日木曽で買ったリンゴ。。。

「品種違いで味比べ出来るね!」

               

 天辺に腰掛けて自然の中で
心をかよわせ笑い合うひとときは
人生も温めてくれると感じている。

   さあ 森に帰ろうか。

◆共に生きること

「森が明るくなりましたね」

 三辻山北面にある自然林は
亜寒帯の橅と温暖帯の樫が並び
共生するここだけの混生林がある。

「高木が先に散ったきね」

 新緑は大地から始まり
紅葉は高木から葉を落とす。
これもかよって気づいたこと。

                       

春は大地の芽吹きを高木が待って
秋は高木が葉を落とし大地を温める。
これは気づいたもので学んだこと。

 自然は「利他」で成していると思う。

                 櫂あらば冬青空へ漕ぎ出でむ  嶋田麻紀