猿板

遊山黒子衆SARUの記録

最後の土佐猟師の物語2012 山を追うこと

猪犬たち

「こんな原始的な猟をしゆもんは
 日本中探したちわしらぁばぁのもんぞ」
今日猟を共にする犬を選びながら
猟師Kさんは笑って語ってくれた。
◆猟に入る
 安芸の猟師たちは車を置いて
それぞれ犬を率いて独り林道を離れる。
 「猟をしゆ感じがするろうが(笑)」
私も身が引き締まる瞬間です。

◆分け入る
 今ここに入るものがあるとしたら
Kさんたち猟師ぐらいのものだろう。



崩れた沢、放置された植林
そこで失われた暮らしの跡を追って
長年培った経験で見極め分け入る。

◆懐にかえる


 「河童ちゃん。これが炭焼きの道よ」



「わしらぁ子供の頃から
 ここで炭を背追いよったがよ」



                
 山に埋もれた祠に手を合わす。
私達はこのとても大切な心を
見失っているかも知れませんね。

◆山に入る
 子供の頃から培った経験で
猪が残した僅かな跡を追い
犬と共に山を駆ける「山追い」



                         
 それは先人の遺伝子を継いだ
人と犬とが成し得る巧みの技なのです。



                               耳うごくときはつきりと狩の犬  後藤比奈夫