猿板

遊山黒子衆SARUの記録

寒露の加持ヶ峰遊山 秋晴れ

                             

 「涼しゅうなったねぇ」

 急な木段を登る山道は
真名井の大岩の頭の一つにある
昭和の頃に作られた東屋に上がる。

◆大岩の天辺
 東屋の周りに紅葉が見えた。
日本の複雑な地形や樹種により
紅葉する時期は異なるもので
日本の紅葉狩りは長く楽しめる。

◆渓へ下る
 tochikoが荷揚げた梨を食べて
紅葉(こうよう)谷と名付けられた
梶ヶ森のまほらの一つに下った。

                 

 「赤もあるで」

 紅葉が早いシラキが
鮮やかな色を添えていた。

 「水が澄んで多い」

 佐賀山谷川が出流処
紅葉も一雨毎に進むから
これはいいことだと思う。

                             

◆口福時

 「お昼どこにする?」

沢の音が近いところがいいな。

 「じゃあ前の場所ね」

 Y'sがクリームパスタ風に
仕上げたインスタントラーメンに
バジルとパルメジャンをふりかけ
温泉たまごを乗せて頂いた。

                      

 こんなこと繰り返した遊山を
私は贅沢なことだと感じている。

 今日もありがとうな。

           

◆かえり道
 私は土佐の裏山からチベットまで
色んな山を歩き見てきて気付いたのは

 「日本の自然は世界一美しい」こと。

その自然や見つめてきた祖先の
深い懐に入ることが楽しくなって
そこは山頂や山懐だったりしたが
今は森に入ることが多くなった。

                             

それは四季折々旬の風景を追って
お弁当下げて他の人と自然と親しむ
江戸庶民が生み出した「物見遊山」が
私に継がれていることが嬉しく思う。

 また冬への道が始まったな。

                 

 さあ Y'sよ
次はどこに行こうかね。

                   秋晴の何処かに杖を忘れけり  松本たかし