猿板

遊山黒子衆SARUの記録

寒露に入る加持ヶ峰遊山 紅葉晴

                                                       

 修験場であった事を伝える
鎖場に架けられた階段を登り
真名井の滝の頭に上がった。

◆修験場のこと
 滝頭の二段の滝が見せる
四季の風景も楽しみにしている。

 渓の落葉は増えてきたが
紅葉の盛りには早かったな。

◆滝頭のこと
 いつも休憩する真名井の大岩の
岩頭にある東屋には四季折々の風が吹く。

                             

 「珈琲持って来たで」

   「私は和菓子持って来た」

 そんな女性どおしのお喋りを
傍で聞いているのも楽しいものだ。

                                         

◆森の中のもう一つの森
 この森のまほらと感じる
佐賀山谷川が出流森に降りた。
ここは稜線近くの川の源流で
標高があるから紅葉も早い。

 今染まっている葉は
来週は地に落ちているから
これが今秋の一期一会だろう。

                 

 「水面の紅葉が綺麗!」

 自然を味方とした祖先は
紅葉を枯葉と見ない心を得た。

 源流近くの水鏡かぁ。。。

 「こんな森は他にないね」

 これは今日の一期一会。

日本人に生まれて良かったな (^_^)

      さあ 帰ろうか。

           

◆かえり道
 森に無数の生物がいるように
一本の木にも無数の細胞が生きている。

 葉は紅葉し死んで大地に還るから
その木は生きて命を繫ぐことが出来る。

                 

 それはまさしく「利他」であって
「利己」の命は生き残ることは出来ない。
 そして人間も個の死があるからこそ
他の「生」があり命を繫ぐことが出来る。

 「鳥の目線も綺麗ですね」

 姿の見えない鳥たちの
囀りが近くなったことを感じた。

                                   

 「今日は森の中で
     お昼にしょうや」

  「私 味噌汁湧かします!」

 今日もいい遊山だったなぁ。

                    御仏をふかく蔵して紅葉晴  今瀬剛一