猿板

遊山黒子衆SARUの記録

冬の家から遊山 冬海

                             

 高知市南部に東西に尾根を張る
南嶺山塊の主稜線にある鷲尾山は
かつて土佐藩の薪を賄ったお留め山。

◆藩の森
 この杉林は戦後木材需要期に
植えられたものだと思うが
裏山は人の暮らしと共に姿を変える。
私はそれを自然破壊とは思わない。

◆稜に乗る
 単調な植林を登り
宇津野山から烏帽子山まで
東西に並ぶ南嶺の主稜線に上がる。

                 

 日当たりの良い稜線には
南国らしい照葉樹の森があり
再び椎や樫の温暖林にはいる。

 程なく森が開き
冬の空に飛び出す。

                             

◆日向ぼこ
 家から歩いて2時間で
南の眼下に太平洋が広がる
標高306m鷲尾山山頂に立つ。

                 

 この日も何組か上がっていて
それぞれの休日を楽しんでいた。

 いい風景だなぁ~。

 南国土佐の夏では
この標高は気温が高すぎる。
南に向き北は杉が伸び寒風を防ぐ
やはりこの山の旬は冬だろう。

◆かえり道
 鷲尾山は坂本龍馬
姉の乙女も登った記録のある
太平洋を臨む土佐の裏山。

そして私の家から山頂往復
約10km累計標高差492mと
運動としてはちょうど良い。

           

土佐は北を四国山地を隔たれ
平地の少ない辺境の地だが
この様な里山に囲まれた事は
とてもありがたい事だと思う。

 さあ年末に向かって仕事頑張って
道具手入れしながら雪を待とうかね!

 「もう山行っちょった?」

   「鷲尾へね。
     高見はよう燃えよったがねぇ」

「燃えよった 燃えよった」

                                                   

冬海にひとり漕ぎ出づ思ひあり   大橋敦子