ススキが穂を出した。
イネ科の大型多年草。
日当たりの良い山野に自生する。
花穂が獣の尾を思わせ尾花と呼ばれる。
◆登り口
足早に北に流れる雲は
時々切れ間から青い空を見せ
まだ雨にはならない様だな。
「静かやね」
ススキが風に揺れる登り口。
気温は20度と随分涼しくなった。
誰もいるわけないわな。
◆叢林
山道は杉檜の叢林から始まる。
南にいる台風を巻く暖湿雲のせいか
温い風が谷から吹き上がっていた。
「ツルリンドウ」
リンドウ科ツルリンドウ属の蔓性多年草。
葉腋に淡紫色で先の5裂した花をつける。
花はあまり目立たないが果実はよく目立つ。
アザミが蕾を立て
ヌスビトハギが咲いていた。
「ヌスビトハギは
服にくっつくやつ」
そんな叢林の草花は
今年も秋に移ろっている。
◆雑木林
山道は渓谷の急峻な地形に
根を下ろした樹々の林に入る。
「次から次に咲くもね」
この時期この場の
主役はママコナだろう。
渓から上がった山道は
ドゥドゥと音を立てる
龍王の滝の河原へ下る。
◆深山の滝
大蛇の伝説残る深山の滝は
水量を増し飛沫を上げ水面を叩く。
「水が多いと
気持ちえいねぇ」
彼岸が近づき涼しくなったせいか
水の色も飛沫も変わった様に感じる。
「隠れちゅうで！！」
ここの主役はお前さんだろう。
なんでも10年生きるんやってな。
蟹の子の誘ひ走りに誘はれて 鷹羽狩行
