
「最後の続きってなんや」
山は天気が悪いと心が沈むもの。
このような笑いのエッセンスだって
山で大切な装備になると思っている。
◆帰ったこと
「お疲れさまでした」
下で待ったのが幸いし
山雲の中だが風は弱まり
雨も殆ど止んでくれた。

◆持ち寄ること
下で待っていたとしても
まだ夕食までたっぷり時間がある。
荷を解いたら二次会始めよや!

「私も呼ばれよか」
登山口1次会のお酒は抜けた。
私達が背負い上げた大きいザックは
ここで買えないお酒を荷揚げるためだ。

◆夕餐のこと
時間となり夕餐が運ばれた。
小屋閉めた後に里で作られる椎茸や野菜。
蒟蒻はここで捏ねアメゴは生で荷揚げて捌く。
殆どと言っていい手作りのもてなしが並ぶ。

「乾杯は何度しても
良いいもんじゃ」

そして帰るたび山神様のから伺う
50年を越える剣山と共に生きて来た
山守のお話はどんな贅沢な食事より
私の身と心のためになるものだった。

◆朝のこと
その晩何度か目を覚ますが
山頂を覆う山雲は開くことなく
明け方は窓が凍って開かなくなった。

「霧氷が着いてる!!」
仲間が嬉しそうに声を上げた。
「晴れるろうか?」

きっと晴れると思うよ。
朝ご飯頂いてゆっくり待とうや。

山小屋は霧を入らしめ締まりせず 山口誓子