標高1750m西島リフト駅は
剣山から南に下る西島尾根にある。
「この風なら昼から晴れるわ」
◆西島尾根
ここは北西に視野が開け
三嶺まで延びる稜線にある高峰と
北側にある塔ノ丸などの山が見渡せる。
「雪がないな」
「一休みして
ミカンでも食べんか」
徳島のミカンですね。
◆雲の中へ
雪雲の雲底は約1800mで
しだいに山道は雲に包まれ
樹々には霧氷が現れる。
足下のかさを増す雪は
今年の寒暖の繰り返しで
幾度か溶けた固い層がある。
◆変化のとき
山道標高1850mにある
刀掛けの松に近づき雲が切れ始めた。
落葉した唐松の枝に着いた霧氷は
雲が透かす薄日で青磁の色になる。
雲の底が見えた。
山頂部の稜線に近づき
樹々に着く霧氷が厚みを増す。
「樅も重かろう」
山麓から吹き上がる風が
雲を切り青空が走りはじめた。
「やっぱり
昼から晴れじゃわ」
寒雲の燃え尽しては峡を出づ 馬場移公子