猿板

遊山黒子衆SARUの記録

小屋閉めの剣山遊山 山の荷

                             

 「どう 降りそうな?」

 西日本第二の高峰剱山の
標高1955mの山頂部に出る。

 日暮れまで大丈夫だろう。

◆山頂のこと

 「折角来たんやから」

山頂に行くというtochikoと
Tommyさんはここで見送って
独り吞んでるY'sの元に降りた。

◆集うこと

 早いですね!

 私が小屋に降りて程なく
山神様が上がってこられた。

 「今日の荷は軽いけんな」

                             

 その後今回初参加となる
社長が焼酎を背負って現れた。

 これで役者は揃ったな (^_^)

 それでは乾杯!!

                             

◆温かいこと

 「あんたらが上がる時は
   私も上がってくるけんな」

 山の仲間と歓談しながら
時折私は空の様子を伺っていた。

 低山に低い山雲が架かり始めた。

Tommyさん Y'sちょっときて。

 天気図を頭に入れて
山で雲を観て空を読むこと。

 日が沈み始め夕餐が始まる。
蒟蒻から全て手作りの温かい料理。
そんな山小屋から全ての縁が始まった。

                                                           

 「まさに神渡る風景ですね」

 天と地に広がる雲の海。
35年山に通った私も初めて観る風景。
この二層の雲海こそ今日の一期一会。

 今回はこの風景に
会いに来たんだろうな。

◆かえり道
 翌朝は雨で山頂はガスに覆われた。
私達が朝食を終え帰り仕度をしていると
山神様は先に降りられるという。

 「また高知にも行くけんな」

                             

 「いい遊山でしたね」

この天気で小屋泊は殆どキャンセルだったが
私達は危険でなければ雨も自然と受け止める。
それが昨夜の千回に一度の風景に出会えたと思う。

私とtochikoの山道は山だけでなく人も追う。
その道で出会った人達と第二の人生を歩きたい。
そんなことを改めて感じさせてくれた剱山と
山小屋のスタッフと仲間たちにありがとう。

                                     

 「山神様嬉しそうやったね」

かえり道祖谷のお蕎麦を頂いた。

 来年も通わないかんね。

               いのち負ふ如くにも負ひ登山の荷  後藤比奈夫