龍王口から梶ヶ森への山道は
変化の乏しい植林からはじまる。
この日当たりがいい登り口には
ウツギたちが花を咲かせていた。
◆うの花咲く
ユキノシタ科の落葉低木。
日本各地の山野に自生する。
幹が中空なためこの名が付いた。
初夏に鐘状の五弁花をつける。
◆植林の道
単調な植林の道にも
少しは木洩れ日が射し込む。
その僅かな陽の恵みは
ここに追いやられた命を養う。
◆渓へ下る
やがて山道は自然林に入り
瑞々しい若葉色に覆われる。
山道は大蛇伝説が語り継がれる
落差20メートルの龍王の滝に下る。
水面を叩く豪快な音は
今日はいつもより静かだった。
人は鬱陶しく感じる梅雨は
日本の野の命にも人の暮らしにも
必要で大切な自然現象だ。
谷ゆけば硫黄こぼるる花卯木 秋元不死男