「青々してきたね」
登り口から仰ぎ見る
梶ヶ森の山頂部の樹々は
晩夏の装いになってきた。
◆分け入る
登り口の気温は23℃。
この標高なら平年並みで
気持ちよく汗を掻けそうだ。
さあ 入ってみるか。
◆植林のこと
山道は植林から始まる。
杉は1種1属の日本固有種で
日本で最も長く生きる樹木。
正倉院の宝物も杉が護っている。
自生もあるが祖先と共生して
手を入れてやれば山と調和し
林床に生きるウツギたちも
花期を終え実を結びはじめた。
何より永く日本人と生きて来た
叢林の佇まいには安心感を覚える。
◆岩盤のこと
山道はなだらかな植林を抜けて
杉檜を植えることが出来なかった
急な地形を成す岩盤を登り始める。
岩盤の僅かな窪みなどに
根を下ろした草や苔たちが
永い年月をかけ作った土壌に
この樹々は根を張れたのだろう。
◆深山の滝
「凄い音やね!」
岩盤の急登を終えた山道は
娘に化身した大蛇が棲むと伝わる
落差20mの龍王の滝の元へ下る。
独立峰が集めた梅雨の大雨を
ごぉごぉと音をたて下る龍王の滝。
そのポテンシャルエネルギーが
吹き下ろす飛沫と風で揺れる草花。
涼しくて
綺麗だよなぁ。。。
滝が奏でる音と舞う風と飛沫
これぞ山の癒やしの真骨頂だろうなぁ。
大地断ち瀑布の飛沫空へ噴き 新井悠二