猿板

遊山黒子衆SARUの記録

剣山小屋閉めの遊山 北斗

                       

 山脈の東端に位置する剣山は
裾野が切れ落ちた気圧差によって
風と共に雲も吹き上がって来る。

 はぐれ雲 渦巻いてるよ。

◆神の山
 不浄の侵入を禁ずる注連縄を潜り
標高1,955m剣山山頂直下に建てられた
僕らの居場所剣山頂上ヒュッテに上がる。

 「今年も小屋閉めじゃ」

古代信仰の神は高き山にあるとされ
国生みの原点である淡路島から見て
最も高い山である剣山は霊峰として
神話の頃から認識されていたと伝わる。

◆温かいところ

「ただいま」

  「お帰りなさい」

 いつも笑顔が待っている
ここは僕らの山の中の居場所。

                       

「はい お疲れさま」

  「お土産ありがとうございます
     どうぞおでん食べて下さい」

 ここは心を交わすところ。

 

「夕飯まで時間あるけんな
    まぁ ゆっくりやるで」

 ここは僕らの山道の真秀ら
森の中のもう一つの森だと思っている。

                             

◆空を観る

 前線が抜けて高気圧が来たな。

 山頂に拘らなくなって何年だろう。
でも子供の頃から気象に興味があって
街でも山でも雲を眺めるのが好きだった。

 穏やかな山頂は風も美しく
三連休前の静けさを楽しむことが出来た。
そして第二の人生にはこんな時が待っている。

 さて 寒くなってきた。
そろそろ居場所に帰ろうかな。

◆夕べのこと

「おかえり どうじゃった」

 天辺は静かでしたよ。

 一番遠い居酒屋とtochikoが言う
楽しい語らいは宴たけなわだった。

                             

「河童さんに 茸採ってました!」

 いつの間にかアルバイトさんたちも
顔見知り共に山を歩く様になった人もいる。

    いつもありがとうね。

 

「河童さんらが来る時は
   必ず上がってくるけんな」

 ありがたいことですが
どうぞご無理がないように。

                             

「Tommyさんもここやったね」

 そんな出会いはこの星空の様に
沢山散らばっていると感じている。

  北斗は北極星を示す星座だったな。

                  生きてあれ冬の北斗の柄の下に  加藤楸邨