猿板

遊山黒子衆SARUの記録

秋分に入る伊予国遊山 山燕

                                                                   

 「これはツリバナ」

 ニシキギ科の落葉低木。山地に自生。
6月ごろ長い花柄の先に帯紫色の小花を下垂
花後球形の朔課を結び紅葉が美しく種子は赤い。

◆自然の森

 山道は雲の中に入ってゆく。

四国沖を通過するが外側を巻く
雲による風雨は避けられないが
この時四国山地西端は穏やかだった。

 オタカラコウも終わりやな。

山地や湿原に生えるキク科の多年草
長い花穂は黄色で多数つける頭状花は
近縁メタカラコウの1~3個に比して強壮。

                 

◆橅の森

 「ブナやね」

 やや高い山地に生えるブナ科の落葉高木。
ブナ帯の代表種。幹の高さ約20メートル。
春に淡緑色の花を開き果実は10月頃成熟し食用。

温暖な四国ではブナは標高1200mから上。
実は人間が生で食べても美味しいもので
北国では「ブナの実一升、金一升」と言われ
地面に落ちた実は片っ端から動物に食われる。

                             

ブナの樹皮は灰白色であるが地衣類や
コケが覆って見えることは殆どない。
それほどブナは水と相性がいい樹だ。

 「倒れたら茸もどっさり生えるし」

◆雲に入る
 山道はカルデラ火口縁に上がる
急登に入り標高を上げ雲に入った。

 雲は霧となって森を包む。

                       

何となく秋が見えてきた。

四季がある国に生まれて
ほんとうに良かったよな。

◆火口に降りる
 山道はなだらかになり
カルデラ火口縁の森に入る。

                 

皿ヶ峰の火口は自然林に囲まれ
ここはブナと笹床が極相に達して
単調ではあるが立ち並ぶ樹々が美しい。

 自然林に囲まれた竜神平に至る。
この山上平地は四国では貴重な湿原で
四季折々多くの命達に出会えるだろう。

                 

 「岩ツバメ!!」

 秋の渡りに備えた
子ツバメの飛ぶ訓練だろう
燕たちは円を描いて飛んでいた。

 流れる雲を切って飛ぶ
羽音が聞こえるほどの静けさ。

 いい風景だなぁ。。。

                 

山つばめ鳴きて野にそふ山閑か  飯田蛇笏