猿板

遊山黒子衆SARUの記録

秋分に入る伊予国遊山 雲海

                       

 皿ヶ峰に行こうか。

「それやったら1時間です!」

自己責任を言う通行止めだろうが
日本人はやってはいけない事はしない。

臨機応変
 雨は殆ど止んでいたが
南の台風に備えた北の登りでも
山は複雑な地形で予測を超えた
気象現象を起こす事が多いもの。

 愛媛県東温市にある皿ヶ峰は
松山市から1時間ほどの登り口から
標高差300mで登れる1278mの山で
地元のハイカーにも人気の山だ。

                             

◆花の山
 死火山皿ヶ峰はほぼ独立峰。
その地形に雲が昇り雨が多く
特有の土壌と複雑な地形には
多種多様な植生が根を下ろす。

 「私この花好き」

     「みずひきやね」

                      

 これスギヒラタケ

「食べれるんですか?」

   「紫華鬘もさいた」

夏の残花もいい佇まいだ。

◆上林自然公園
 皿ヶ峰は県立自然公園として整備され
木段の他危険箇所はロープが張られるなど
一般的なハイキングも楽しむ事が出来る山

                       

 「終わってますねぇ」

 岩穴から四季を通してほぼ一定の
風が吹き出すことから「風穴」と呼ばれ
冷気でヒマラヤケシを栽培している。

◆自然の森

 「ここの
   ヤブレガサは立派や」

生物の大きさは容器の大きさに比例し
健全な森は植物に感じる生命力が違う。

                 

 「この葉っぱは沢胡桃」

 「大きいケヤキやね」

水を好む樹々が大樹になっている。
ここには地下水脈があるのだろう。

 山麓も潤しているのだろうなぁ。

                                                   

 急な斜面を横切る山道は
下水流れる枯沢で森が開いた。

 「うわぁ!凄い!!」

雲の下に低い山稜を越える
白い雲の海が流れていた。

           

 晴天下の雲海は夏の季語だが
これは大陸の寒気が押す秋雨前線に
台風が暖湿流を運んだお陰だろう。

 今日の一期一会だろうな。

                    雲海に山稜沈み音もなし  福田蓼汀