猿板

遊山黒子衆SARUの記録

小暑に入る加持ヶ峰遊山 花栗

                       

 山道は佐賀山谷川が
滝となる大岩の右岸を登り
滝頭から広がる森に上がる。

◆滝頭に上がる
 大陸とフィリピン海プレートが激突し
海底が押し上げられ隆起した四国山地
北に中央構造線が横たわるため短い距離で
標高を上げ豊富な雨が複雑な地形を造った。

この日本らしい滝頭の釜も
大岩が止めた渓水が時をかけて
運んだ土砂が堆積して造った風景。

                                                 

◆緑の隧道
 山道は佐賀山谷川に沿って
若い木々が成す自然の森に入る。

この植物たちは他の命を養い
海洋性気候の変動を生きてきた。

                   

 人が感じる異常気象で
困るとしたら一体誰だろう。

自然を環境と言うなら競争ではなく
善悪じゃない犠牲も伴う助け合いで
全てが絡合しあって命を繫いでゆく。

◆深山の参道

 「これ栗の花やね」

 山野に自生するブナ科の落葉高木。
雄花は上向きに咲き雌花は基部に固まる。

 今日も花筵やな。

     

 この山の石が敷かれた域には
栗の他にもヤマナシなど植えられ
樹齢から人の関わりの長さが解る
深山の参道を山道は登ってゆく。

◆深山の境内
 山道は急な斜面を平した
山の寺院の境内に上がった。

 「トチの摘果が始まった」

果樹で果実の幼い時に間引く様に
森の樹々は虫が入った実を落とす。

 木はそれが解るんだよな。

                             

山道が石段に差し掛かれば
深山に置かれた奥ノ院が現れる。

 一休みしていこう。

                   まどろめばあの世の栗の花匂ふ  瀧春一