歩き始めて間もなく
主稜線に靄がかかり始めた。
tochiko 雪が来るで。
◆雪催(ゆきもよひ)
「ほんまや
雲が降りてきゆね」
でももう少しかかるかな。
◆寒風吹く
登山口は穏やかだったが
次第に山風が下りはじめた。
この道は白髪山とカヤハゲの間の
構造谷の山腹を削り横断しており
谷底を流れる長笹谷に深く切れ落ち
標高差により風が集まり吹き抜ける。
◆変化のとき
「あれ? 雪や!
河童天気予報大当たり!!」
冷たい粒が顔に当たる。
いつの間にか
私達の周りは薄暗くなり
上空で冷えて雪となった雲が
山風に乗って森に降りはじめていた。
◆舞い降りる
積もった姿もいいが
雪の本質は降る姿にあると思う。
「やっと降ったね」
そうこれが
私たちの初雪やね。
命ありて見る初雪の新しや 樋笠文