猿板

遊山黒子衆SARUの記録

梅雨晴間の五山所道遊山 転

水源へ

 かつて集落に恵みを与えた
谷川にそった植林の道を登る。
石灰の山である御在所山には
地下に豊富な水脈があるのだろう。


◆遡ること
 今は植林で鬱蒼としているが
南斜面の大屋敷は日当たりが良く
先人はお日様と水を求め居を定め
この奥にも多くの暮らしがあった。



◆山に眠ること
 信仰の山に導く道標には
大正十五年九月と刻まれている。



この道標は山頂の神社と
集落への道との分かれ道にあり
急な信仰の道を登ってゆくと
眼下に集落跡の石積みが現れる。


                  
◆人が生きること
 地球初の大脳支配動物「人間」は
現状に満足せず常に改善しようとする
脳の欠陥を持っていると言われている。



たとえば里と街も同じことで
人は移動した環境に合わせるでなく
環境を住みやすいものに変えてきて
それは結果「環境破壊」になるだろう。


                
しかし人間以外の生き物は
その環境に合ったものが生き残り
たとえばアマガエルやドジョウ、ゲンゴロウなど
里の生き物は自然の中にはいない。



これからも利便性、豊かさを求めれば
街に人が集まるのは当然のことで
「ここにかつて人が住んでいた」は
人間にとって必然的なことではないか。


               
農業も生活が進歩し変わっていく
これからの日本に里の暮らしは
もう必要ないのかもしれない。



                       杉植ゑて雲の中より戻りけり  宇都木水晶花