猿板

遊山黒子衆SARUの記録

清明の三辻の森遊山 花樒

                       

 自然休養林の公園施設
杖塚の南方に開いた空で
いつも空の様子を観ている。

 雲が厚くなってきたな。

◆杖塚のこと

「花が増えたね」

 マンサク科の落葉低木の花。
高知県の蛇紋岩地帯にのみ自生し
花は三~四月に葉に先立ち開花する。

「これから花が伸びてくるき」

 先週咲いていた花に変化はないが
一木が出した芽の開花の数は増えていた。

   陽の光を纏うような色合いだなぁ。。。

                 

◆杣道に降りる
 一休みした杖塚から
来た道を少し引き返し
杣道に入り峠に下る。

 「ほんと穏やかやね」

 森を抜け杣道が降りた
標高約950m郡境の赤良木峠。
空の雲の底は暗くなってきたが
動きは遅く風も気持ち良く感じた。

                                           

「石鎚さんは雲ん中」

 雪が解ければ山が開いて
信仰や登山で賑わう四国の主峰。

  やっぱり眺め拝む神山だな。

◆近道に入る

 峠から三辻山への近道に入る。

 この山道は植林作業の仕事道で
本来の登山道は伐採で通行出来ない。

                             

 日本人らしい等間隔に植えた
杉檜の林に僧が集まって修行する
叢林の佇まいを僕は感じている。

その林の薄暗く急な北斜面を
葛籠折れに登る山道端にいる
深山樒や青木が芽吹き始めた。

               

◆稜に登る

「一本する?」

 仕事道の急登を終えた山道は
かつて南から上がった登山道に入る。

   クールダウンしょうか。

「ツクバネソウが出たで」

 森の時を刻む花時計が
今年も目覚めたようだな。

   クロモジも芽を出した。

               

 緩く登る登山道の先が
明るくなれば工石山から始まる
この山域の主稜線は近い。

                 人の世に咲きて樒の花かすか  高木石子