登りはじめは杉林。
落葉しない杉は風雪を受け止め
地面に落ちる雪は少ない。
そして林は静かだ。
◆谷へ下る
杉林の向こうが明るくなり
水が水面を叩く低い音が聞こえてくる。
道は谷間に下りはじめ
祠を祀った龍王の滝が見えてくる。
◆滝凍る
大岩を割り流れ落ちる滝は
雪と水しぶきを巻き上げ
滝頭からつららを纏った
美しい姿で私達を迎えてくれた。
「風景が変わったね」
2週間前とは全く違う風景。
これこそ水が造り上げる
日本の変化の風景だと思う。
◆静寂の森
滝を巻く急な山道を登れば
眠る柞の森が私達を迎えてくれた。
「ぼちぼち
スノーシュー履こや」
沢に添った山道に
今日は水音が聞こえない。
雪は静寂をもたらす。
一瀑の凍らんとして響きけり 岡田日郎