猿板

遊山黒子衆SARUの記録

晩夏の三辻の森遊山 鎮

                 

 三辻山北面にある自然林は
亜寒帯の橅と温暖帯の樫が並ぶ
珍しい混生林が生きている。

◆共生する森

「やっぱり森は涼しいね」

 森は土中に多く雨水を蓄え
草木がその水を吸い上げている。

  樹々は喜んでいるだろうな。

 水を吸い上げ蒸発する時奪われる
気化熱で森の気温を下げる樹や草が
それぞれが他の役に立ち合い共生する
調和の中心にいると僕らは感じている。

                             

◆祖先のこと
 森の命は人が感じる五感以外の伝達手段で
繋がっていると考えられて元々森の民だった
僕らの祖先もそれを感じていたとも言われる。

 「朴がいっぱい葉を落としちゅう」

 

僕も自然と調和できたから他国が及ばない
数万年も前に武器が全く見つからない平和な
文明を築き助け合う心を繫いでくれたと思う。

  強い雨だったんだなぁ。

              

「また 止んだ」

その遺伝子と共に時に仲間たちとも
森にかよい見定めたいと思っている。

   久しぶりに見る光る霧だな。

◆森の中のもう一つの森

 今年も開いてくれたシダ

                             

杣が何か感じて
   祠を祀った大岩

 そして杣が積んだであろう
石積も全て僕らの道を示す道標。

                             

「いい風吹き上がるねぇ」

 その山道に真秀らと感じる
森の中のもう一つの森がある。

 ここは格別な処だからな。

「はい ここでおしまい」

 今日もこの日だけの
一期一会に出会えたなぁ。。。

  もう僕らは多くの山はいらないな。

                       

◆かえり道

沢登りの経験が活きたね」

 この時期GORE-TEX®着ても
どうせ中は汗でグチャグチャだし。

  「ウエアしっかり選べば涼しいもね」

 40年間毎週末山にかよい続けて
土佐の裏山からチベットカイラスに至った
経験が僕らが今歩いている山道の礎となり
今はその山道を下山しているのかもしれない。

そしてこの歳になり始まる第二の人生は
今までの山道で出会った他県の仲間とも
共に歩いて深めてゆきたいと思っている。

 「歩幅が合うことが大切だよね」

           

「いい遊山やったね」

 街は大変だっただろうけど
大雨だって自然にとって大切な
恵みってことを感じられたよな。

「お蕎麦ありがとう
   長野に行っちょったかよ」

 「友達と信州の名山眺めてきたで」

「そりゃあ えいわ」

                                               

 旅も人生も
人の味と温かさですよね。

  今日も感謝していただきます (^_^)

                  ひぐらしが鳴けり神代の鈴振つて  山口誓子