猿板

遊山黒子衆SARUの記録

晩夏の三辻の森遊山 結

                       

 クールダウンしょうや。

 仕事道の急登を終えた山道は
伐採のため通行できなくなった
三辻山南面からの登山道に入る。

◆登山道のこと

 「カニさん!
   葉っぱに隠れて怒っちゅうで」

 雨が嬉しくて出てきたんだろう。

  びっくりさせてごめんよ。
 君らも懸命に生きているんだよね。

「ヒグラシが聞こえ始めた」

 一休みの後歩きはじめた登山道は
葛籠折れでなだらかに標高を上げる。

 明るくなった道先から呼んでいる様だな。

◆稜の道
 再び山道は杣の道に入る。

 稜線は陽は当たるが風雪も強く
土壌が乏しいため根生菌と共生出来る
リョウブら低木が土壌を守っている。

                 

 標高2000m近く東西に座る
四国山地が北の寒気を止めて
南からの暖気は受けて雨となり
土佐は温暖多雨の気候に恵まれた。

「ヒグラシおった!」

 土中で3年過ごし成虫になると
寿命一月足らずで生涯を終える命。

    よく捉えたなぁ。。。

                       

◆忘れられた園地

「ヒグラシの大合唱やね」

 稜線から北面に下りはじめた杣道は
昭和の頃整備された赤良木園地に降りる。

  こんな蟬時雨は初めてやなぁ。。。

真っ白い頂上はえいろう。

 「ここで一本しょうか」

    えいねぇ涼しいしね (^_^)

                             

◆鎮めるとき

「コーヒーあるで」

 朽ち始めた東屋の屋根の下で
tochikoが荷揚げた水菓子を頂く。

 

 お供えしていこう。

 僕らの祖先は自然と
ご先祖様を神として頭を垂れた。

  「鳥も山の鼠も自然やもね」

                             

「霧が濃くなってきたね」

 焦らず気負わず
幸せってこんな事でいいんだろうな。

                   爽やかや良寛の菓子無心状  下田稔