
修験場であった事を伝える
鎖場に架けられた階段を登り
真名井の滝の頭に上がった。
風が強くなってきたぞ。
◆滝頭のこと
滝頭の上にある二段の滝が
四季折々織り成す日本画の様な
風景が僕の楽しみの一つだ。
強い風で雪面が磨かれたな。

◆大岩の頭
いつも風が吹き上がる
真名井の大岩の岩頭にある
東屋でいつも休憩している。
「猫バス来た!」

気圧差で山麓から昇る風が狭い渓谷に
集まり力を増した塊となって稜線に吹き上がる。
「とらやの羊羹あるで」
「やった~ぁ!」

◆森の中のもう一つの森
「風が止んだ。。。」
時折風速10mを超える風が連続した
東屋から降りた僕らがまほらと感じる渓は
さっきの突風が嘘のような静寂に包まれていた。

iyo この渓の回廊の先に
真名井の源があるがよ。
「ほんと綺麗ですねぇ」

僕らがかよう祈りの山の源流域。
山腹が強風でも穏やかなこのまほらで
森の命らは護られ命を繫ぐのだろう。

標高1400mから下る稜線直下から出流
渓水に映された森の中のもう一つの森。
ここで命は生まれ湧き出す様に感じる。
さあ 帰ろうか。

◆かえり道
大地の隆起と世界屈指の降雨により
刻まれた複雑な地形を持つ日本の山岳は
場所により風の吹き方 雨と雪の降り方も
全く違うことを今回体験出来たと思う。

「これタヌキでね」
森の命と一緒に歩けるのも
冬山の楽しみの一つだろうなぁ。。。
「爪痕が可愛いね!」

「霧氷は飛んだ」
そんな日本の地形そのものが美しく
四季それぞれの粧いが見せる風景は
世界一美しいと僕は感じている。

「真下に重心落とすがで!」
その美しさを深めるためには
時と経験が必要だと僕は思っている。
よしよし いい感じだ。

「えい遊山やったね」
「いい経験になりました」
おっかなびっくり
ドキドキしながらまた行こうな。

「上は雪が結構あったで」
「そいうかえ
そりゃぁ良かったねぇ」

「私も行きたいちや」
いつかご一緒しませんかぁ。
頂きます (^_^)

足跡をたぬきと思ふこのあたり 石田郷子