山道は落差20mの滝を成す
大岩右岸の急峻な岩盤を登り
深山の懐広がる滝頭に上がる。
◆滝頭に上がる
龍王の滝の滝頭には
二段の滝が流れ込む釜があり
四季折々の風景を見せてくれる。
「落ち着いた風景やね」
落葉が静かに渦を巻きながら
釜底に沈み次第に黒くなってゆく。
枯れにも色合いがあるよなぁ。
◆渓谷に添う
山道は佐賀山谷川を渡り
先人が関わった若い森に入る。
ここは大岩が堰き止めた土砂が造った
広い緩傾斜地で祖先も長く留まった。
落葉した森の主役は幹と枝。
雲に覆われた背景があるから
枯れ色が温かさを感じさせた。
「まだ落葉ふかふかやね」
雪に押しつぶされる前の
落葉は乾いていい音を奏でる。
これが今日の一期一会だな。
◆信仰の域
「霧が出てきた」
山道は石門の様に並んだ岩を通り
先人たちが関わった信仰の域に入る。
山雲が流れてきたんだろう。
ここには平坦地を造るための
石積などが幾つか残っていて
先人が薪集めや炭焼きなどの
自然との関わりの跡が見られる。
山道は祈りの域に上がる
崩れかけた石段を登り始める。
この雨上がりの落葉は
滑るから急な登りは足下注意。
◆深山のお寺
「山梨まだあるで」
石段を上がり深山の境内に上がる。
この山梨もきっと植えられたものだろう。
生り年で命らも喜んじゅうろう。
広い境内から石段を登った
落葉を敷き詰めた霧の森の中から
深山のお寺定福寺奥ノ院が現れる
一本していこうや。
水底の岩に落ちつく木の葉かな 丈草
