猿板

遊山黒子衆SARUの記録

啓蟄の三辻の森遊山 霙る

                                                 

「降りゆうで! 
  ふわふわ降ってきゆ!
     これって雪?みぞれ?」

 シャーベット状のみぞれで良いかと。。。

◆降りてくるもの
 その日その時の温度や
風で姿を変える水に会う道は
何度通っても飽きることがない
深い懐があるように感じている。

 

◆共に生きる森
 三辻山山頂部を覆う自然林には
冷温帯のブナと暖温帯の樫が並ぶ
日本でも珍しい混生樹が根を張り
共生し調和を保ち種を繫いできた。

           

 自然界で個で生きている命は無く
「他の役に立つ」利他のものが生き残り
数億年の時を調和を保って種を繫いだ。
僕らは森に通いそれを感じ確信した。

「雪になった」

命は時に他を捕食しても数を調整する
役割を担い決して「弱肉強食」ではない。

   どうも稜線で収束したかな。

                                         

「また新しい雪が降りて来たね」

 まだ寒気は降りてきそうで
名残の雪にはならないと思うけど
三寒四温も大切な自然現象だと思う。

◆森の中のもう一つの森
 杣道はこの森の深い処に入り
先人が置いた祠があった岩が現れる。

 その杣人が見定め祀った大岩は
道標として杣人を護って来たのだろう。

           

「ここも真っ白けっけ」

 杣道は僕らも感じるこの森の
特別な処「真秀ら」に辿り着いた。

   風は山麓から吹き上がりや。

 山に人も関わり変わった
森の中にあるもう一つの森は
雲や風と鳥の新しい道となって
新たな命が調和に入ると僕は思う。

                             

◆かえり道

「ここでおしまい」

 自然の原理原則に沿った
天然自然の森は美しいものだが
先人が関わった森にもそれを感じる。

日本の地形や気候が複雑だから
分布を広げるため日本に辿り着いた
多くの命が生き残ることが出来たことを
世界で希な種の多さが証していると思う。

                                                       

そして温帯の島国だからある四季と
寒気と暖流が生む厳しい冬あればこそ
人も助け、分かち合う心を養えたと思う。

   一人だけじゃ生き残れないよな。

「高山に護られた
   山の雪は優しいねぇ」

 山高きが故貴からず。
雪は挑む相手ではないよなぁ。

                 

「思いもせんかった雪に会えたね」

 名残雪は先だろうけど三寒四温
いつも新しい雪が敷かれる里山って
ほんとうに綺麗で優しいと思うな。

「雨に遭わんかったかえ?」

  「上は霙から雪に変わったで!」

「そりゃあ寒かったろう」

    「装備持ちゅうき大丈夫で」

                                                 

 まあ 雪なら容易いこと。

でも些か風で身体冷えたから
拉麺で温めてもらいますね。

 今日も感謝して頂きます (^_^)

                淋しさの底ぬけてふるみぞれかな  丈草