「大きい木やなぁ」
ほぼ独立峰である皿が峰の
豊富な水が幾つかの谷を削り
水辺を好む欅などの木樹が根を張る。
◆大地に根を張る
皿ヶ峰は1,500万年前の成層火山。
上の登山口から頂上に登る道は
火山活動による侵食が働いた
傾斜の大きい険しい谷を横切る。
◆大気に還る
落葉樹は冬を迎える前に老化反応が起こる。
この過程で葉に蓄えられた栄養が幹に回収され
翌年の春この栄養は再利用される。
栄養が十分に回収された葉は
枝から切り離され無駄な水分やエネルギーが
冬の間に消費されるのを防ぐことができる。
その枝葉を待っているものがいる。
菌類は私たち動物と同じく炭素で活動し
二酸化炭素を再び大気に還すという
大切な役割を担っている。
◆八百万の神
炭素(CO2)と水と太陽熱で
活動する生物だけが命を持っていると
私はずっと思っていた。
しかし川も山も海も我々と同じように
地球で生まれ成長し、やがて死ぬ。
たとえば山にも川にも雲にも命を感じた
私たちの祖先は間違っていたのか?
いつかきっと祖先が正しかったと
皆が納得する時が来るような気がしてならない。
秋風の吹きわたりけり人の顔 鬼貫