猿板

遊山黒子衆SARUの記録

仲秋に入る加持ヶ峰遊山 団栗

                             

 「コウヤボウキは終わり」

 茎を刈ってホウキにしていた。
この慎ましい低木も祖先と共に生きてきた。

 でも不思議な造形の花だよなぁ。。。

◆滝頭に上がる

 落差20mの深山の滝を成す
大岩の右岸にある急勾配を登り
祖先が関わった緩傾斜地に上がる。

龍王の滝頭には二段の滝が
流れ込む大きな釜があって
四季毎の風景を見せてくれる。

 今日は澄んだ秋の陰影か。

                                                   

◆二次林のこと

 「渓の風が気持ちえい」

 山道は渓に架かる橋を渡り
祖先が手を入れた二次林に入る。

 気圧差の吹き上がりだね。

 この深山の広い緩傾斜地は
大岩が堰き止めた土砂の堆積で
渓が近く先人も長く滞在出来て
炭焼跡や石積が今も残っている。

 「ヤマボウシの実やね」

 山野に自生するミズキ科の落葉高木。
六~七月小枝の先に白い花びらの様な
苞(ほう)に囲まれた頭状花序をつける。

 

一つの容器で生きられる命は限られて
人が入れば居なくなくなる命もあるが
人が居れば生きる事が出来る命もあって
自然の調和は数だけの単純なものではない。

                                                 

◆共生すること

 「南から陽が射し始めた」

 山道は石門の様に並んだ
岩の間を通り信仰の域に入る。

    秋の陽射しになったなぁ。

 「木の子」

 春と秋の彼岸の頃が
植物の活動が最も活発になり
菌類も目につくようになる。

                     

 木洩れ日が降りる山道は
崩れ始めた古い石段を登り
深山のお寺の境内に上がる。

 また流された様だな。

◆祈りの域

 「蟬時雨も終わったね」

 山道が上がった広い境内は
信者の他昭和の登山ブームの頃は
多くの若者たちで賑わった広場。

           

 「涼しそうやね」

境内から一段上がれば
鬱蒼とした森の中から
深山のお寺が現れる。

 一本していこうや。

                妻の手に木の実のいのちあたたまる  秋元不死男