猿板

遊山黒子衆SARUの記録

冬終る奥物部の森遊山 新雪

                       

 尾根を巻いた山道は
なだらかにヌル谷に添い
僕らは奥物部のまほらに帰る。

◆ヌル谷のナロ
 この深山の広い平坦地は
一面を覆う真新しい雪の下にも
僕らの40年の思い出が詰まった
森のまほら 森の中のもう一つの森。

 「いい雪やね」

 新しい雪は白さが違う。
特に四国は軽くきめが細かい。

 中国山地を越えた軽い雪やもね。

◆木ににゆく
 この森のまほらを造った
渓が出流処にいる老木に会いに
奥物部の森深く分け入った。

                                                       

 「スパッツいらんかったね」

 パンツの立体裁断もあるが
それほどこの日の雪は軽かった。

 忘れて来てよかったよ(苦笑)

 この森に40年かよって
その分だけ変化すればよかったが
人の関わりで大きく様変わりした。

 大木に頑張って欲しいなぁ。。。

           

◆Mother tree

 「枝の雪がえいねぇ。。。」

 清流出流処に根を張る
tochikoの森の母の元に来た。

 今日も森の母は天に向かって
大きく広げた枝で彼女を抱きしめた。

 そう 抱きしめた様に見えた。

                                     

 多くの命とその身で共生し
生きる樹齢300年越えると言われる
老木は一つの森なんだろうと思う。

 今日もありがとうね。

◆かえり道

 「井の中の蛙やった。。。」

僕らもかつて経験したこと。

 今季最も強い寒気で
一番の積雪を観測したのは「大山」

                                                   

日本海を渡る雪雲と対峙する
中部山岳や中国山地の雪質は重く
今回三日近くも降り続いた。

 そしてこれから気温が上がり
山は雪の仕舞いにかかる頃に入る。

 「歩く道も変えんとね」 

                             

 「いい遊山やった」

 四国ならではの
この時期の新雪はよかった。

 雪とお友達になろうな。

 これから春に向かう山道は
しっかり見定めて歩こうな。

                   新雪にあまたの山の声聞こゆ  浅利昭吾