猿板

遊山黒子衆SARUの記録

河童の道具箱 遭難に想う

                             

 山に行かない休日。
私たちの山道具屋さん
高知岩と雪を訪れた。

◆昨年のこと

 長野県内で2023年に発生した
山岳遭難は302件332人に上り
件数・人数ともに過去最多だった

       = 信濃毎日新聞より =

登山が「観光」の延長のようになり
「中高年」がとか「単独行」がなど
遭難の原因は様々報じられているが
私はもっと基本的な事を心配している。

                 

◆山道具屋のこと
 一つはメーカーや総合専門店の
全国規模でのチェーン化によって
街の道具屋が駆逐されつつあること。

 道具選びと使い方は大丈夫かな?

 「お客の命を預かっちゅうき!」

 一昔前の山道具屋さんは
そんな頑固オヤジさんがいて
その人を観て道具を選んでいた。

                     

◆時代と道具のこと
 昔は今の登山口まで一苦労だったが
近年の交通網や林道などの延長により
深い処まで車で入ることが出来る。

 車どおしのトラブルも増えている。

 また道具の進化によって
僕ら世代が入れなかった(苦労した)
深い処まで入れるようになった。

 でも自然は何も変わっていない。

                       

 ただそれによって
見えなくなった危険は多いと思う。
例えば雪上を歩くスノーシューでは
雪崩の原因となる雪の層が解らない。

ここまで記した二つのことは
メディアのスポンサーなので
指摘されることは少ないだろうから
自分の命は自分で守るしかないのかなぁ。

                       

 どんな高名な登山家であっても
最初からその資質があった訳ではなく
ながい坂をコツコツ登って来たはずだから。

 (あげく死に至った方も少なくはない)

                   髭白きまで山を攀ぢ何を得し  福田蓼汀