南天が薄暗い寒林に色あいを添える。
西日本暖地に自生するメギ科の常緑低木。
初夏に白色の小六弁花を総状につけ
晩秋から冬には赤色の果実をつける。
◆稜に乗る
南嶺山塊の南稜線を巻いた
山道は南北に延びる主稜線で
薄暗い林を抜け冬空の元に出る。
山道は稜線標高130mに建つ
中高等学校の校庭を進む。
◆鞍部に下る
「ヒンヤリして
気持ちがえいね。」
明るい学び舎に添った山道は
稜線に沿って鷲尾山との鞍部に下る。
この植林を下る道沿いには
サカワサイシンなど専門家が驚く
希少な植物がいたりして興味深い。
命とは強いものだと思う。
「休んで行くろう
珈琲持って来たで」
鞍部に設けられた木製ベンチは
この山を愛する方々によるもの。
◆登り返す
珈琲タイムののち
今回の縦走最後の登りに入る。
ここから道は二手に別れて
いつも登りは急登を選んでいる。
「山を知っている人が
作った木段は違うね」
これも山を愛する方々のもの。
木の根一本位が丁度いいよな。
◆共生林のこと
「ツワブキここにもおる」
人工林には天然自然で
生きられない命が根を張る。
アオキもそうだな。
植えられた杉檜の間に生えた
潅木らも根を張り地形を守っている。
それも解っていた祖先が作ったの林は
「人工林」でなく「共生林」だと僕は思う。
南天の実をつゝめとや鴈の声 其角