猿板

遊山黒子衆SARUの記録

Tommyさんの家から遊山 枯草

                                                           

 「足下滑るき気をつけよ」

 山頂の木陰で身体を冷まし
高知市の南部に広がる街に向かい
草原状になった鞍部に下った。

◆鞍部へ下る

 「この高度感がいいね」

眼下に広がる僕らの家もある町。

 「高知はえぇですなぁ」

山高きが故貴からずやな。

◆草原のこと

 「山火事の跡ないね」

 6年前の山火事で焼け野原となった
高見山は元より元気に草が生えている。

 10年かからんもんなぁ。

           

 「まだアザミが咲いとりますわ」

 特に日本の様な植物が豊かな国は
土を剥いでもすぐ草が生えるように
多くの種子が常に大気中を浮遊している。

 

 「鳥と風が運ぶきね」

土の世界は大気中と違って
山の土にはスプーン1杯で
数億の微生物が生きている。

           

里山の森
 高見山から鞍部へ下り
再び入った薄暗い雑木林はかつて
落葉や草木も人が利用していたと言う。

 ここは何か変わったなぁ。

 「この実何やろう?」

 通い始めた頃の畑跡はなく
放置されれば命の絡合が始まり
調和が取れた森に還ってゆく。

                     

 自然とは強いもんだ。

◆鷲尾山に入る
 目指す鷲尾山に取り付く
杉檜の林は戦後植えられたもので
日陰を好む植物が迎えてくれた。

                                           

この継いできた命らにも
人の手など必要としない
自然の強さを感じさせる。

「霧がえぇ感じですね」

 一休みしたら
最後の登りやな。

  「雨上がりは瑞々しいね」

                     

枯れてゆく草の終りはてらてらと  廣瀬直人