猿板

遊山黒子衆SARUの記録

大寒に入る家から遊山 落葉

                       

 足下滑るき気をつけよ。

 山頂の木陰で身体を冷まし
高知市南部に広がる街に向う
草原状になった鞍部に下った。
◆鞍部へ下る

 「この高度感がいいね」

眼下に広がる僕らの家もある町。

 山高きが故貴からずも
第二の人生の道の一つだろう。

立春に想うこと

 雪崩は春の季語。

 私が尊敬する山の先輩が
1997年2月11日四国の1800m
笹ヶ峰の下山中雪崩で逝った。

                 

彼は40日もの間笹ヶ峰稜線にテン泊し
雪と霧氷の観察し人工雪崩も起こして
それも検証する雪の専門家でもあった。

  毎年増加する山岳遭難原因に
「道具の発達」もあると僕は感じている。
「過信」と「無知」は仕方ないとしても
山は「利己」でなく「利他」だろう。

           

山の事を知らず家で待つ家族。
命懸けの救助の事は考えて欲しい。
僕はこれから寒さが底を打つ
旧正月までの雪が最も恐ろしい。

◆嘆きの森
 山道は開けた高見山から林に入った
ここは空襲で焼け野原になった高知市
身元のわからない100体余りのご遺体が
荼毘に付されここに埋葬されたと伝わる。

                             

また終戦高知市は食料不足のため
市有地を払い下げ食料の増産を図り
この界隈は一面芋畑であったと言う。

◆農業利用のこと

 「これ栗やねぇ
   虫が入っちゅうろうけど」

 冬苺も食べ頃やなぁ。。。

                      

 「段々畑の石積やね」

 昭和の石積は山に眠り
やがては山に還るだろう。

 この竹も道具を作ったんだろうね。

そんな畑跡の間に植えられた椎は
椎茸のホダギや椎の実が採取され
落ち葉は集めて堆肥に利用してきた。
先人の営みは自然との共生なんだろう。

                  落葉籠百年そこにあるごとく  大串章