猿板

遊山黒子衆SARUの記録

冬至に入る奥物部の森 寒禽

                             

 賑やかに寒禽の群が来た。

「寒禽」は冬に目にする鳥。
これに対し「冬鳥」というと
冬に渡ってくる渡り鳥を言う。

◆囀るもの
 この時期この山域に居るのは
ここで冬を越す小さいコガラなどで
それは得られる食糧によると思う。

 君らは小さいから強いんだよな。

◆出会うこと

 雪が降ると
命との出会いが近い。

 後ろ足を前に出し跳ねるウサギと
小さいのは尾を引っ張るヒメネズミ。

                      

 急な崖に向かって下ったカモシカ
これは子兎を追って走ったテンだろうな。

 

寒々しくも感じる雪景色だが
懸命に生きる命らに出会うと
ほっと心が温まるのを感じる。

◆深く分け入る

 12月で繋がったなぁ。

ポタポタ落ちている渓水が
大きな氷柱となるところ。

 これまで寒かったんだろう。

 そんな一期一会を楽しむ林道は
奥物部の森に分け入る終点に向かった。

           

 ほんと
今日は静かだなぁ。。。

◆渓へ下る
 両側の山が迫った林道は
古の峠に上がる終点に近づき
風は渓からの吹き上げに変わり
森へ分け入る山道に入った。

                 

たいがい渓へ下る道は急峻で
日照時間も短いから凍り付き
足下には細心の注意を要する。

 山道が下りた長笹谷は
降ったばかりの雪を纏った
水墨画の風景で迎えてくれた。

                                     

 雪が乗った岩の間を流れる
漆黒の流れが溜まらなく好きだ。

 今日僕は
この風景に会いに来たんだな。

                    寒禽のこゑ木立から水面から  星野恒彦