「斜陽になった」
地軸が秋に傾き始めて
暖色系の陽射しが射してきた。
森も秋に向かい始めたな。
◆登り口のこと
今日も静かな登り口。
気温22℃は晩夏の頃の気温で
気持ちいい夏の汗を掻けそうだ。
彼岸に入ればアブも終わる。
「ススキが咲いた」
イネ科で稲に似た花を咲かす。
花穂が開くと獣の尾を思わせ
尾花と呼ばれる秋の七草の一つ。
◆叢林のこと
「今日もルリのお出迎え」
梶ヶ森への山道は
人が植えた杉檜の林から始まる。
ルリも渡るかなぁ。
植林の植生は単調だが
僅かな木洩れ日で生きる種が
これから秋に移ろいはじめる。
そんな僅かな変化にでも
目を向ければ気付きを得られる。
第二の人生もそんな道を歩きたい。
◆岩盤のこと
山道は大岩の岩肌の
僅かな土壌に根を張った
草木が生きる森に入る。
「ママコナ畑も終わる」
自然に近い環境は
植生も多様化し草花が
秋に移ろいはじめていた。
渓水を止め地形を成す
大岩の斜面を登った山道は
娘に化身した大蛇が住むと言う
深山の滝に下りはじめる。
◆深山の滝のこと
「やっぱり涼しい！」
山に降った雨が海に下り
渓風を伴い滝は飛沫を上げる。
まだ森は晩夏の空気やから。
渓に舞う風と飛沫が
多くの命を養っている。
森の命が調和する源となり
大岩を溶かし流れ落ちる水は
なんて美しい佇まいなんだろう。
花薄風のもつれは風が解く 福田蓼汀
