「スイッチ入ったね」
この頃四国山地の紅葉は
2000m付近から下り始めて
1500m位まで達したようだ。
◆山を観る
Y'sと落ち合った登り口。
気温12℃は例年並みだが
まだ日中の陽射しは強いから
ウエアは夏装備でも行けそうだ。
「防寒着も入れちゅうき」
しかし休憩時などの備えは
準冬装備はパックに詰めること。
さあ 入ってもうか。
◆人工林
梶ヶ森への山道は
杉檜の人工林から始まる。
今日は風がないなぁ。
林に有終の美を添えるのは
このキク科の草花になるかな。
「クロモジも染まり始めた」
谷間にある山道は日が陰り
他より気温が低いから早いかも。
◆自然の森
登り口から程なく山道は
風と鳥が運び根を下ろした
まだ若い自然の森に入った。
木間から見える対岸の森が
紅葉色に染まって見えるのは
冬に近づき傾いた朝陽の色だが
これも晩秋の一期一会だろう。
山道は紅葉兆す樹々が
根を張る岩盤の急登に入り
渓から滝音が聞こえはじめる。
◆深山の滝
岩盤を登った山道は
飛沫を上げる龍王の滝へ下る。
大蛇に化身した娘が棲むと伝わる
深山の「龍王の滝」は水が澄んだ
秋に向かう佇まいを見せてくれた。
大岩を溶かし下る滝頭が纏う
イワタバコに秋の色が見えはじめた。
梶ヶ森は台風の水を
まだ蓄えているのだろう。
滝水は音を立て山麓に下る。
先人が神として祀った深山の滝は
今年も確かに秋に移ろいはじめていた。
とどろきのなかに無音の神の滝 桂信子
