猿板

遊山黒子衆SARUの記録

処暑の三辻の森遊山 秋の雲

                       

 いつも杖塚で空を観ている。

 低層を流れる夏雲の積雲の
雲底が暗くなってきたようだが
まだ2~3時間は大丈夫かな。

◆杖塚
 四国上空に太平洋高気圧の南側を
延々旅してやってきた寒気が流れ込んでいる。
 このスケールの大きさは驚くばかりだ。

  風が涼しくなったろう。

 「変化の風やね」

 来た道を少し引き返して
古の杣道に入り赤良木峠に下る。

 そう 変化を告げる風だろう。

                 

◆赤良木峠
 四国山地の南に位置する土佐は
雨に恵まれた山岳地帯が多く良材を産し
山地の層も厚かったため漂泊民と言われた
木地師が長く滞在する里が点在していた。

 「峠は涼しいねぇ」

 杣道を降りた峠の上を
夏雲が南から流れていたが
風は北から吹き上がっていた。

 「石鎚は雲の中」

地軸が秋に傾きだし日本に降りる寒気は
時に暖気とぶつかり激しい天気となるが
それも日本には必要な自然現象の一つだ。

                             

◆近道

 峠から三辻山への近道に入る。

 太平洋プレートが大陸に沈み出来た
日本列島は常に隆起を続けているので
去年と同じ地形はないと言ってもいい。

特に隆起が大きい中部山岳では落石が多く
大雨は土石流となり広い平野を形成した。
そこに人がいれば災害となるのだが
必要な自然現象であることは間違いない。

いま連呼される「収束帯」も昔からあって
ゲリラと読み替えられた「にわか雨」も同じ。
そんな全てを「異常」として終わらせたら
本質が見えず災害はなくならないと思う。

                       

◆稜線
 杉檜の植林を登る近道に
笹が現れれば主稜線は近い。

 蟬時雨の道だなぁ。。。

 「ガンクビソウの花と
    ホトトギスのつぼみ」

 ここも秋が咲き出した。

                     

 山道は主稜線に乗り
今では忘れ去られた
昭和の園地に辿り着く。

 一本しょうや。

                   石槌やきのふにたがふ秋の雲  松根東洋城