猿板

遊山黒子衆SARUの記録

雨上がりの三辻遊山 転

                             

「これよく観たら
   山でも御躑躅でもないねぇ」

昭和42年全国初の自然休養林に指定された
工石山の広場として整備した杖塚に上がる。

◆人が関わること

 「たぶん植えた園芸種やね」

ほぼ全てが外来種と言える日本の自然は
先に来て長く生きたものが競走には強く
人が拓いた処は新参が生きる可能性がある。

それは日本の風土で形成された自然林には
ヒキガエルはいてもウシガエルいない
アナグマはいてもハクビシンはいないなど
そこで絡合し助け合えるものが強いのだろう。

                 

◆杣のこと
 杖塚で休んだ後に赤良木峠に下る
かつての杣の道と言われる山道に入る。
温暖多雨な四国山地南側にある土佐は
古来より良材を配し木地師も長く留まった。

 「この甘い香りはグイミやね」

 グミ科の落葉または常緑低木の総称。
春または秋に白色で小さな筒形の花を開く。
実は食用で材は強く農具・工具の柄とする。

                                                               

 今日は石鎚は見えんな。

この週末は暖気と寒気が押し合い
雲が押し下げられているという事だ。

◆近道のこと
 峠から三辻山への近道に入る。
ここは更に成長した人工林を登る
急登となり道も明確でないため
一般的にお勧めできない道だろう。

                                           

ただ1000m北斜面にも拘わらず
面白い草が花を咲かせて楽しめる。
それは種は分布を広げることが目的で
鳥が運んでも人が運んでも同じこと。

                      

それぞれの手段で生き延びた
意味が必ずあるだろう花の造形は
ホントに不思議なものだと思う。

◆稜線のこと
 アキレス腱を伸ばす急登を終え
標高約1100m三辻山直下の稜に乗り
ほぼ手付かずの自然林に入ってゆく。

           

 「今年も花吹雪に
     会えるろうか」

 今回は1週空いただけやけど
その間の雨がどうだったかやろうね。

                  つややかに首立ててをり蝮蛇草  青柳志解樹