猿板

遊山黒子衆SARUの記録

小屋開けの剣山遊山 木の芽

                 

 「山桜が咲いちゅうね」

 標高約1400mの見ノ越から
山桜を前景に観る女神様の山。

 ここはまだ春の始まりだな。

◆登り口のこと

 「静かやね」

 大型連休を待つ登り口。
気温16℃と平年並みだろう。

 今日は花曇りでいい感じ。

◆立ち寄ること

 「皆さんお元気やおか」

 お世話になっている民宿に
土佐の小夏を持ってお昼を頂く。

   今年も帰って来たんやね。

                                                           

 「開けましておめでとうございます」

 いつもの笑顔が向かえてくれる。

「昨日こさえた山菜食べて下さい」

    「いやぁ~ 嬉しい!」

 

◆信仰の森
 剣山への山道は
標高1420mに鎮座する
祖谷山総鎮守で創建年不詳の
劔神社の鳥居を潜り始まる。

                             

 山道は不浄のものの侵入を禁ずる
注連縄を潜り信仰の森に分け入った。

古代信仰の神は高き山にあるとされ
国生みの原点である淡路島から見て
最も高い山である剣山は霊峰として
神話の頃から認識されていたと伝わる。

 「トチが芽吹きゆう」

日本最古と言われる信仰が守られた
剣山は天然自然の山懐を持っている。

  シロモジも咲きだしたな。

                     

 「ここのブナもやる気やね」

 詳しい木々の一斉結実データは
九州の椎や樫で観測されているが
伝達方法が未だに解っていない。

◆回り道
 今日も急な登りの近道に入らず
山懐深く緩やかに登る回り道に入った。
これも山泊の楽しみ方の一つだろう。

           

 「手を洗うと気持ちがえいで」

 山道は祖谷川の源流に至る。
手のひらを洗えば身体が冷やされる。

 そんな季節になったんだなぁ

 ここも鳥が多いなぁ。。。

 ゆっくり標高を上げる山道は
ブナ林から亜寒帯ダケカンバの森に入る。

 「和宏さんの置き土産場やも」

                 

 「一本しょうや」

 山懐を西南に巻く山道から
剣山弟峰の次郎笈が見え始めた。

 今日はほんとに静かだなぁ。。。

                 大寺を包みてわめく木の芽かな  高浜虚子