猿板

遊山黒子衆SARUの記録

晩秋の三辻山遊山 むかご

                 

 「サツキも
     染まり始めた」

 昭和42年自然休養林に指定され
広場として整備された杖塚に上がる。

◆杖塚
 ここはいつも空を観る処
今日は大陸の高気圧の縁に入り
風がぶつかり雲が広がりやすいが
雲は薄く青空も見え雨はなさそうだ。

 「やっぱり
    零余子あったで!」

           

自然薯などの葉腋に生じる玉芽。
種類によって形や大きさが異なる。
風味が豊かで野趣に富む。むかご。
塩茹でにしたり炊込飯にしたりする。

◆赤良木峠
 杖塚から少し引き返し
古の峠を結ぶ杣の道に入った。

                       

 標高950mの峠に降り
西からゆっくり流れて来る
秋らしい雲の下に立つ。

 確かに風は秋やな。

 「うっすら石鎚が見える」

峠から北西方向に聳え立つ
神の峰は薄雲を纏っていた。

 今日は賑やかやろうね。

                                         

◆近道
 乾いた風抜ける峠から
入った三辻山への近道は
植林の作業道であるため
自己責任で歩く必要がある。

ここ植えられたのは概ね檜で
自然を観て植えられた事を感じる。
 さあ急登で足腰鍛えるか。

 「これ猪やろ?」

 雑食性のイノシシは深く穴を掘って
土中の虫やミミズ、球根、根を食するが
土を鋤き返して柔らかくする「耕し」で
植物の分布を広げる役目も担っている。

                             

◆稜に乗る
 急登を終えた山道は
三辻山頂に続く稜線に乗り
ここからは自然に沿う森に入る。

 「稜線はリンドウやね」

秋晴下一際美しい秋の花は
陽射しによって花を開いてゆく

                     

 稜の道は山頂直下にある
昭和の忘れられた園地に至る。

 山頂に上がってもうや。

                     ほろほろとむかご落ちけり秋の雨  一茶