猿板

遊山黒子衆SARUの記録

夏終わる加持ヶ峰遊山 俄か雨

                                                           

 真名井の滝の滝頭にあがる。

 権化とは神仏が衆生済度のため
姿をかえてこの世に現れることを言い
清水出流大岩は権現様だったと思う。

◆権現の頭に上がる

 「雨が来た」

 真名井の大岩の滝頭には
昭和の頃の東屋が建っている。

 雨宿りしていくか。

 「えいタイミングやったね」

 山頂は雨を集め山雲が出来る。
しばらくは降ったり止んだりだろう。

 雨の風景もいいものだ。

                             

◆森の中のもう一つの森

 さあ 雨が止んだ。

 稜線近くで川が始まる紅葉谷は
この山の「まほら」と思っている。

梶ヶ森にあるもう一つの森には
水が姿を変えた山霧が漂っていた。

     

 「静かで綺麗やね」

 山から海に下った水が
雲となって再び山に還ってくる。

 この水の循環があるから
多くの命が養われ調和した
豊かな自然が日本にはある。

 雨上がりの一期一会やな。

 

◆かえり道
 この時期は気象図には現れない
水域と陸地の温度差でピンポイントに
熱的低気圧が発生し特に高度差がある
山では突然激しい雨や雷に見舞われる。

 「今日はよく会うね!」

それは「一天にわかにかき曇る」だが
事前に気圧配置と海水温を見ていたら
予測可能で回避できないものではない。

                      

熱的低気圧ではルート見直しや雨具。
滑落などは靴や登攀道具の選択はどうか
昨今の遭難事例を見ていてもほとんどが
装備と備えの不足が原因の様に思われる。

「晴れちゅうね!」

  山の天気はこんなもの。

                                     

 僕らは「降ったら濡れる」
蟹かヒキの子でいいかな d(^_^)

                俄か雨過ぎ日ざし来て雉子鳴けり  粕谷延子