古の修験場真名井の滝の
左岸の岩に架かる鎖場を登る。
ここからは上は神の領域で
先人も入る事は希だったろう。
◆大岩の頭
真名井の滝頭には
日本庭園の様な河原があり
四季折々美しい風景を見せる。
紅葉も楽しみだなぁ。
「えい風吹きゆうで」
大岩の頭の一つに設けられた
東屋でいつも一休みしている。
「子供の頃遊んでた」
1cm位のウスバカゲロウの幼虫。
縁の下などの乾いた砂にすり鉢状の穴を
掘り滑り込む蟻などを捕らえて汁を吸う。
◆まほらに入る
真名井の大岩の頭から下り
大岩が堰き止め土砂が堆積した
紅葉谷と呼ばれる河原に降りる。
「水が澄んできたね」
先週末も西日本に訪れた台風で
沢水が増え水温が下がったのだろう。
地軸が傾き陽射しが和らぎ
台風は海水温を下げて気温も下がる。
暑さ寒さも彼岸までやな。
さあ 帰ってもうか。
◆かえり道
この命の森を成すために
大きい命も小さい命も沢山いる。
生涯誰の目にも止まらなくても
懸命に生き役割を果たす命がいる。
でも今の日本は清潔と真面目の
要素だけで構成しようしていないか。
真面目と清潔は悪いことではないが
人間それぞれ人生があるはずなのに。
昭和までは誰も言わなかった
お酒を煙草を止めろパチンコはだめだ
真面目に清潔に生きろで本当に良いのか。
多数派を重視した窮屈な社会は止めて
本当は先人の様な平等で寛容な社会を
目指すべきじゃないのかな。
日の出は遅く日没も早くなり
夕方は何となく気ぜわしさを感じるが
これから日増しに秋が深まってゆく。
「河童天気予報大当たり!」
登り口でエンジンかけた時。
にわかに激しい雨が降り出した。
まぐれだよ。
じつと待ち死ぬまで待てる蟻地獄 齊藤美規