猿板

遊山黒子衆SARUの記録

芒種の加持ヶ峰遊山 水無月

                                                       

 真名井の滝頭の風景は
日本の渓谷を詰めた箱庭の様で
四季折々の風景を見せてくれる。

◆風抜ける処

 「えい風吹きゆうで」

大岩の頭の一つに設けられた
東屋でいつも一休みしている。

 特別な処の入口やから。

 「子供の頃遊んでた蟻地獄」

 1cm位のウスバカゲロウの幼虫。
縁の下などの乾いた砂にすり鉢状の穴を
掘り滑り込む蟻などを捕らえて汁を吸う。

                                         

◆清流生まれる処
 真名井の大岩の頭から下り
大岩が堰き止め土砂が堆積した
紅葉谷と呼ばれる河原に降りる。

 標高1000mを越える稜線の
間近に刻まれた「紅葉谷」は
大雨が降っても濁ることのない
佐賀山谷川が始まる源流の森。

                             

 蟬時雨と囀りに包まれた。

 森は水を貯め雲を作り
雲は太陽光の5%を反射し
植物は気化熱奪い空気を冷ます。

 「飛沫く渓の風やね」

 標高が100m上がる毎に
気温は0.6℃下がってゆく。

 天然のエアコンだな。

◆鎮める処

 「木洩れ日が流れゆぅ」

 私の遊山の主題の一つ
森の中にあるもう一つの森は
長く通ううち感じた特別な処。

それは山の登り方は人それぞれ
生き物も好む処が違っている様に
まほら(真にすぐれたよい処)は
懐深い山には沢山あると思っている。

                 

◆かえり道

 さあ 帰ろうか。

 個体差はあるが人間が裸でいて
暑くも寒くも感じない温度は26度で
人間は26度の環境で生まれたと言われる。

そして全ての生物の運動エネルギーは
低い気温に熱を逃がし得られるもので
人間は体温36度から26度で10度位の
温度差が必要だと考えられている。

                             

 「ここは鳥の目線」

ただそれは安静時に必要なエネルギーで
運動を加えればより低い温度が必要となり
越えれば発汗により冷まそうとする。

地球上全ての動物は脂で出来ているため
低温では固くなり血流を阻害し凍傷になり
体温が上がると溶け出し細胞劣化に陥るから
動物も暑い時は涼しい処でじっとしている。

                 

「涼しい遊山やったね」

   だから夜行性なんだなぁ。。。

     「何のこと?」

あっ! 独り言 ひとりごと  (^_^)

                   六月を奇麗な風の吹くことよ  正岡子規