「山桜えい感じやね」
私の好きな山桜の開花。
その開花と同時に広げる若葉の
淡い色合いに小雨は格別だった。
◆杖塚に上がる
「土佐水木は過ぎたね」
自然休養林の広場に植えられた
木々がそれぞれの花期を迎えていた。
ヤマナシは蕾を膨らませ
土佐水木は迷いなく暦どおり咲き
また実を結び命を養い命を繫ぐ。
潔いでねぇ。。。
◆峠に下る
杖塚で一休みした後
来た道を少し引き返して
杣が使った古の峠道に入る。
「やっぱり雲の中」
上戸のように風が集まる峠は
雲も集まりぶつかり合って
風も雨も強くなることろ。
寒気押してきたな。
北から流れ来る風は
晩冬になっていた。
◆近道に入る
「風も雨も弱まった」
峠から潅木守る木こりの道へ
三辻山頂への近道に入った。
ホッとするなぁ。。。
山道は再び植林に入る。
この杉や檜は人と共に生きて
30年で伐られ花粉は出さなかった。
そろそろ切り時かと思うがな。
「ツクバネソウが出たね」
北面で陽射しの乏しい植林の
林床にも調和を取るための命がいる。
「これはナルコユリかな」
小雨の降る近道を
足下の命に見送られ
傘を差して登った。
ひかり降るごとく雨来て山桜 茨木和生