猿板

遊山黒子衆SARUの記録

秋分の三辻山遊山 野菊

                       

 杖塚で森が開け見上げた
秋の空を流れる下層の雲は
形を変え北西に流れている。

 昼までは大丈夫だな。

◆空を観る処
 昭和の頃の自然休養林。
公園施設に流れる風は秋のもの。

今季の秋一進一退は終わりかなぁ。

 「土佐水木の実も
   雫を纏えば美味しそう」

 水は命を生み
命を潤してくれる。

                                         

◆峠に下る
 来た道を少し引き返し
古の杣の道に入り峠に下る。

 「野菊のなんと可愛いこと」

 日陰に生きればこその美しさ
先人も目を向けて歌を詠んでいる。

                   

その心は俳句や浮世絵に残され
中世から世界を魅了し続けている。

そんな国に生まれて本当に良かった。

◆赤良木峠

 「気持ちいい風」

 昭和のドロマイト採掘で
姿を変えた古の峠に降り立つ。

 季節変わりの風やな。

 「石鎚山は雲の中」

上層、下層雲の下にある
四国の名峰が秋に入れば
観光客で賑わうだろう。

 山道は赤良木峠から杣道と別れ
三辻の近道となる植林作業道に入る。

                             

◆近道を登る
 近道は三辻山北面に植えられた
人工林の急登を葛籠折れに登る道。

 木洩れ日がいいなぁ。。。

 陽が乏しいが故競争がなく
根を張ることが出来る草木の
小さい命の健気と言う美しさに
これからも目を向け歩きたいな。

                     

◆稜に上がる

 「レンブラント光線来た!」

 雲の隙間から差す筋状の太陽光。
光と影の画家レンブラントが用いた技法。

                     

中世ヨーロッパの信教画の風景醸す
日陰の林の果てが明るくなりはじめ
山道は三辻山の主稜線に登ってゆく。

                 はなびらの欠けて久しき野菊かな  後藤夜半