猿板

遊山黒子衆SARUの記録

梅雨明けのヌル谷 びいと啼く

化身

 日本の山野の広大な面積を占める
国策による杉や檜の人工林は
その殆どが放置林となっています。
◆放置林のこと
 不自然に密生し間伐されない針葉樹林の
年中陽が射し込むことなく何も生えない大地は
命の土壌が流出した「緑の砂漠」となり
生態系や人の生活に少なからず影響が現れています。
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また利用価値の無かった稜線などに
かろうじて自然林が残り
「営林」から「森林管理」に看板を変た国は
国民に向かって「自然保護」を唱えています。

◆追われたこと
 その緑の砂漠に住処を追われた山の生き物は
食べ物を求めて怖いはずの人里に下ったり
残された狭い自然林で命を繋いでいます。

この三嶺に住処を追われた鹿達が密集し
下草はおろか木々の樹皮まで食べています。

◆みんな生きていること
 でも本来柔らかい草を好む鹿達が
固い樹皮まで食料としているのは
飢えが相当辛い状況にある証です。

 今、国は民間人と共に
「自然保護」と言う旗の下で
鹿達と戦い続けています。

◆悲しい啼き声
 必死で生き残ろうとする事を「食害」
条件の悪い稜線や人里に現れる彼らを「害獣」
そう呼んで「駆除」しています。

 しかし自然を守ると言うのであれば
「駆除」されるべきは鹿達なのか。
この鹿が自然に対して何の悪さをしたのか。

 遠くで鳴く鹿の声を聞きながら
酔っているせいでしょう
私の涙は止まりません。

                びいと啼く尻声悲し夜の鹿  芭蕉