猿板

遊山黒子衆SARUの記録

不安なこと

兆し

 和宏さん達と通う剣山。
この山麓を覆う自然林にも
鹿の食痕が現れ始めています。
◆兆しのこと
 まず笹の葉がなくなる。
これを数年繰り返していると
笹は枯死し姿を消す。

◆見てきたこと
 笹床と草を失った土は
雨に打たれ流れ始める。

土を含んだ水の流れは力を増し
大雨が降れば土石流となり
土壌ごと森を流し始める。

◆不毛であること
 「土に粘りがなくなってきた」
頂上ヒュッテの新居さんは語る。
もう既にこの山は大きな流れに
呑み込まれようとしているのかもしれない。

しかし人はまだ鹿という
自然と戦おうとしているが
猟師は高齢者ばかりとなり
鹿達はここで生き抜き得た知恵で見ている。

今の森を残したいのであれば放置林の間伐を進め
鹿を元いた場所に帰す事を進めるべきだろう。
これは私達人間の行いの結果なのだから。
 植林行政がもたらしたものは花粉症だけではない。

                                     びいと啼く尻声悲し夜の鹿  芭蕉