猿板

遊山黒子衆SARUの記録

良夜の奥物部遊山 風の薄

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 山道は白髪山の稜線に乗り
剣山まで続く縦走路に交わる。
ここでやっと木段がいなくなる。

 はあ やれやれ・・・。

◆頂のこと
 標高1770mの白髪山山頂は
剣山地を目前にして南は太平洋を
北は石鎚山へ続く四国山地主稜線から
四国カルストまで臨むことが出来る。

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 「石鎚も綺麗に見えゆうで」

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◆稜線のこと

 さあ 行こうか。

今回は月光の三嶺を観るため
この山域でゆったり幕営出来る
「白髪分かれ」を目指していた。

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この稜線は荒れた里山を追われた
鹿達が早い時期から上がって来て
木の皮や下草を食べ命を繋ぎ
20年前とは全く違う風景になった。

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でもそれは一旦リセットしただけで
自然は人の手など必要とせず長い時間をかけて
安定した植生に還してゆくと私は思っている。

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◆白髪分かれのこと

 「これがツツジのトンネル
   これを抜けたら白髪分かれで」

 10年位前までは毎年春になると
ピンクのトンネルが迎えてくれていた。

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山道は白髪分かれに出て
稜線の森を抜け空に出る。

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 「三嶺 捕まえた!」

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◆尾花のこと
 分岐から剣山への縦走路に入る。
ここもかつての笹原を鹿が丸裸にしたが
3年位前から広大なススキの住処となり
人が張った防鹿ネットのなかも同じこと。

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 植物遷移の上から見れば
ススキ草原は草原としては
ほぼ最後の段階に当たる。

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ススキは株が大きくなるには時間を要し
初期の草原では姿が見られないが次第に
背が高くなり全体を覆うようになる。

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ススキ草原を放置すれば
アカマツなどの先駆者的な
樹木が侵入して次第に林に還る。

 自然に人の保護など必要ない。

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 「河童ちゃん ここどう?」

避難小屋のある鞍部に下る手前
tochikoがいい平坦地を見つけた。

 いいね 三嶺ど~んの特等席やんか。

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                    眼の限り臥しゆく風の薄かな  大魯