猿板

遊山黒子衆SARUの記録

冬終る奥物部の森遊山 冬空

                             

 冬木立の中に残る葉の色。
これは枯れ色であるけれど
雪景色の中では温かく感じる。

◆色合いのこと
 祖先が四季を見据え至った
美意識は色彩でなく色合いだと思う。
九谷焼などに用いられる鮮やかな
色使いも雪景色に合う色合いだろう。

◆陰影のこと

 「えい風景やねぇ」

林道が横断する渓筋の沢に
積もった雪が見せる陰影の風景。

 僕も好きだなぁ。。。

                             

 白と黒の風景に深みを見出し
和紙に墨の濃淡で描いた水墨画
中国から来たと言われても越えている
そんな日本人の観察力は世界一と思う。

◆流れのこと

 「なんとか
    繋がっちゅうで」

 毎冬観察している氷瀑
一本だけ大地まで達していた。

                 

 「今年は雨が少なかったきね」

 その年々の気象を形に残す水の造形。

  これが今年の一期一会やな。

◆空のこと

 「風が吹き上がるね」

 白髪山北面を横断する林道は
次第に標高を上げて深い渓に下る
尾根筋を巻きはじめ冬空に向かう。

                       

 対面に新しい雪を纏う
カヤハゲの尾根が横たわる。

 「今日の空も
    風も気持ちいいなぁ」

 今日はスパッツも必要ないほど
軽くて柔らかい雪を歩けている。
冬は中国山地に護られる四国の山は
雪遊びには丁度いいかもしれないな。

                   櫂あらば冬青空へ漕ぎ出でむ  嶋田麻紀子