猿板

遊山黒子衆SARUの記録

小寒の加持ヶ峰遊山 枯山

                                                   

 「霧氷はないね」

 澄んだ冬空に流れ来た
雲が架かり始めた山頂部。

 これが今日の風景だ。

◆登り口のこと
 標高約900mの静かな登り口。
気温1℃は例年並みでよい感じだ。
年末年始は暖かく過ごしよかっただけに
この先大寒からがどうだかだろうか。

 さあ 行こうか。

                                                   

◆植林のこと
 梶ヶ森への山道は
杉檜の植林から始まる。
Y'sと共に歩む山道は
2020年6月から始まった。

山を始めて2年目の彼女との
山道は雪中泊まで辿り着いて
自らの山の相棒を見つけ今日は
その人の経験としてご一緒した。

                     

 僕は登山の最も大切な装備は
「経験による判断」だと思っていて
今日も彼女の肥やしになればと思った。

◆岩盤のこと

 「残雪はないね」 

 急峻な岩盤は植林出来ず
そんな厳しい地形にも根を張った
自然の林を山道は登り始める。 

切り立った岩盤の僅かな窪みに
土壌を造り根を張る草木に見える
命の逞しさは冬こそ感じられるもの。

 菌との共生関係があるからだよ。

                   

◆深山の滝
 岩盤を登った山道は
娘に化身した大蛇が棲むと伝わる
龍王の滝の元へ下りはじめる。 

地形を成す大岩が堰き止めた
渓水を集め永い年月をかけて
岩を溶かし造った滝口の美しさ。

 「綺麗ですね!」

                       

 落差20mの深山の滝は
季節で水量の増減はあっても
決して枯れることなく流れ落ちる。

 滝の美しさは滝頭にあると思う。

                    枯山に鳥突きあたる夢の後  藤田湘子