猿板

遊山黒子衆SARUの記録

仲春の加持ヶ峰の遊山 飛沫

                             

 「穏やかやね」

 偏西風の蛇行で西日本は
太平洋高気圧が優勢となって
風もなく気温は高くなった。

◆登り口のこと

 「ウエアばっちしや」

 標高約900m静かな登り口
気温8℃は小春日と言えるだろう。 

 今日は防風着はザックinやな。

 さあ 行くか。

その日の空でウエアを選ぶこと。
運動を伴う山歩きでは基本で
特に肌着に「一器多用」はない。

                                                       

◆植林のこと

 「ヒンヤリ」

 梶ヶ森山頂への山道は
人が植えた杉檜の林から始まる。

 丁度いい気温だな。

今朝は晴天による放射冷却
下がった気温が林内にまだ漂い
肌に気持ちよく感じていた。

 今日の選択は正解だったな。

                      

 落葉した山の南斜面では
春陽の出と共に気温が上がるが
それも人それぞれ楽しめるから
この時期の低山は楽しいと思う。

◆岩のこと

 「足下滑らんね」

 急峻な岩盤には植林出来ず
そんな厳しい地形に根を張った
自然の林を山道は登り始める。 

                                                       

化繊靴のソールは使用頻度だけでなく
経年劣化で硬化しグリップ力が低下し
僕らは3年を目安として交換している。

 山で恐ろしいのはスリップやもね。

 

完全中立の自然に生身で対峙する登山では
「自分に都合のいい判断」は通用しないから
道具を要しどうしてもお金がかかるものだ。

◆深山の滝
 山道は地形を成す大岩の頭から
娘に化身した大蛇が棲むと伝わる
落差20mの龍王の滝の元へ下る。

太陽が海を照らし風が運び山にぶつかり
島国日本には年間7億トンの淡水が降り
日本人が使うのは20%で家庭はその内3%。
有り余る資源が豊かな自然と人を養ってきた。

                                               

太陽光を基とした流れ落ちるエネルギーがあるのに
わざわざ他の資源とお金を大量に使った風力とか
太陽光発電などしなくてはならないのかなぁ。

 やっぱり滝は神力の権化なんだろう。

                   滝落ちて自在の水となりにけり  小林康治